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小倉37期同期会

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ブログスタートの2010年は卒業60年// 2020年 米寿を過ぎて卒寿通過。 「90歳の壁は重たい」

君津製鉄所見学の記(その2)

ここでは 先ずカタログに載っていた 製鉄所の全景俯瞰図を掲載しました。 遥か彼方には富士山が見えます、東京湾に臨む規模雄大な製鉄所であることが、よくわかります。
 
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工場見学は ①高炉にはじまり ⑥UO鋼管工場までの6つでした。高炉については、(その1)で述べていますが、判りやすいイラスト図を入れて ここに再掲しました。 尚、①~⑥の工場見学欄は 全般の設備、操業を知悉した古谷君が記述いています、それに 徳野がイラスト図など投入して編集~投稿しました。
① 高炉の見学                 
先ずは、構内の西北端に鎮座する第四高炉を目差して、バスは西へ5キロほど走る。途中、石炭ヤード、コークス工場、鉱石ヤード等の脇 はた又縦横に張り巡らされた原料搬送コンベアーの下を潜り抜けて高炉工場に着いた。 階段の昇降を繰り返して、高炉の根元にたどり着く。そこは、高炉の守り役の従業員が働いているフロア(鉱床)であり、正に製鉄の最前線である。
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1200℃の熱風が42本の羽口から轟音を発して 高炉炉内に吹き込まれ、足元の鋳床には真っ赤に溶け銑鉄が渦巻いて流れて行く。恐る恐る高炉の羽口にある覗き穴から内部を見ると、真っ白な火炎が絶え間なく渦巻いている。そのド迫力と生々しさに圧倒されて言葉を失う。これほど高炉に接近できるとは予想もしていなかった、大いに感動した。
② 転炉及び連続鋳造
階段を幾十段昇ったであろうか、轟音を発しながら閃光をチラつかせている巨大な卵型の鉄球(転炉炉体)が 数10m先に望める見学路に立った。イヤホーンを通じて案内嬢の声が流れてくる、時々 古谷君の含蓄ある解説の声も入ってくる。
転炉操業を総括すると次のようである。 鉄が300トン入るという大鍋に、初めにスクラップを投入し、次に高炉直送の高温の溶銑を流し込む。鍋の上部ランスから下部は炉底の穴(ランス)から純酸素を吹き込んで製錬する。(この製鉄所内には空気中から酸素を分離、採取する「酸素工場」もある) C: 3.5%の銑鉄は この過程によりC:0.6~0.8%の鋼(はがね)の変身する。その後、色々な成分(P,S,Mn、Si…etc)の調整が行われて、所定の溶鋼が完成する。
 見学路でイヤホーンに聴き入っている間にも、巨大な天井クレーンがスクラップバケットを運搬移動していた、巨大な割にもの静かなのが 何とも印象的であった。
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連続鋳造工場の鋳込床は一段と高いところにある、エレべータで移動した。ここの操業内容も懇切な案内嬢と古谷君の解説で大よそ会得できた。
転炉で製錬された鋼は鍋で運ばれる。最終製品(厚板、薄板、形鋼,線材etc)に応じて鋼を所定の大きさに固める工程である。1600℃の溶鋼を底なしの箱型鋳型に連続的に流し込んでいく。外周から徐々に水冷し、外皮が凝固した鋼(内部はまだ未凝固状態)を注意深く垂直から円に沿って曲げながら、水平に連続的に引き抜いて 完全に凝固した地点で 連続した流れの中で所定の長さに剪断していく。このようにして、最終製品の形状に応じて「スラブ」「ブルーム」「ビレット」の3種類に造り分けられる。
凄まじいスラブの連続ガス剪断工程を目撃した。 完全凝固したスラブが鋳造速度で水平移動している、これをアセチレンガス切断するのである。炎をジェット状に吹き出す火口が両端から近づく、鋳片に接触した途端に小さな爆発が起こり、直径2mくらいのピンク色の火球が現れる、初めて見る光景に息を吞む。 二つの火口が 中央で合致して切断は終わる。この後、所定の長さになった鋼片は氷上のソリのように軽快にローラテーブル上を滑って 次の工程に送られていく。実にダイナミックなドラマチックな光景であり、必見の工程の一つだと思った。
③ 連続熱間圧延工場
次に見学したのは 熱延工場である、建屋:1,000m、圧延機部分(下図)だけでも500mはある 途方もなく長大な工場である。
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このラインを圧延されながら流れる灼熱の鋼板(テーブル上を流れる真っ赤な大蛇?)に沿って、見学者用に設けられた高所デッキを イヤホーンに耳を傾けながら 足早に歩いて行く。 空間を真っ赤に染めて灼熱のスラブが加熱炉から抽出される。 5スタンドの不連続可逆式圧延機(合計5万馬力)と7台の連続式圧延機(合計10万馬力)で鋼片は見るみる薄く延ばされていく。 出側速度は84㎞/Hr、仕上寸法は(厚:25.4mm、幅:2,180~600mm)で、最終3台の巻取機でコイル状に1本1本(単重:Max24トン)巻き取られていく、これまたテレビで見るのと大違いで 更にダイナミックな工程であり、必見の工程である。
④ 次に冷延工場を訪ねる。熱延で圧延された帯鋼(Hot Strip)は表面が黒く、硬い酸化鉄の粒膜(Scale)で覆われていて、冷間圧延前にこれを除去ことが必須である。4槽からなる全長300mもある塩酸の槽の中を通して綺麗にする。その後 ヘリカルターンを経て冷間圧延機に向かい 直接ロール下を潜る。
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常温で圧延された薄板帯鋼(Cold Strip)の表面は輝くばかりに純白である。冷間圧延機は熱間のそれよりもスリムであった。尚、このCold Strip製品は厚さ1.2 ~ 0.12mm、幅500 ~ 1,200mmであるという。
 説明では、出側速度が新幹線並みの240㎞/Hr であること、それにも増して驚いたことには、入側ヘリカルターン装置と出側のカロゼルリールで 実に昼夜をわかたず 速度を落とすことなく圧延が続けられていることである。新幹線並みの速度である、余りに早いので板は静止しているように見える、しかも この超高速で昼夜をわかたず圧延している‥‥‥、説明板に「WORLD’S FIRST」と書かれている、この世界のトップをいくラインの開発者は古谷君と云う、将にこれは「魔法の圧延ライン」である。
⑤ 次は連続亜鉛メッキ工場である。                                    君津製鉄所見学の記(その2)_e0199455_1571598.jpg釜の中を冷延薄板が通過し 連続的に亜鉛が付着し
て引き上げられている。亜鉛が冷却されるまでは
物に当てることは不可なので、30mの高さまで
ロールに触れることなく垂直に引き上げられる。

 亜鉛の付着量及び表面性状即ち結晶模様は
思い通りにコントロールされているとのことで
あった(自動車、家電製品の外板からバケツの
キラキラ星模様まで)。
製品サイズは幅:600~1,600mm、
厚み:0.12~3.2mmである。
              (その3)は日を改めて投稿します、ご期待下さい。
by kokura37th | 2013-05-07 16:09 | 二金会と関東 | Comments(0)

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